店名通りいつも大入りなお寿司屋“大入鮨”

休日の昼食は朝食も兼ねていたりでとても大切で・・・

パスタにしようか天ぷらにしようか、はたまたお魚にしようかお肉にしようか、悩みに悩み迷いに迷った末にたどり着いたのがお寿司屋の『大入鮨』さんだった。

阿佐ヶ谷と南阿佐ヶ谷、そして荻窪からそれぞれ適度に離れているせいであまり立地条件はよろしくない・・・ように勝手に思っている。

その上、分厚いドアに阻まれ、外から中の様子はまったくもってうかがい知ることができないものだから、もしそのドアの中で良からぬことが行われていたとしても、誰にも知られることなく完全犯罪が成立する。

いや、自分でも言っている意味がわからない・・・。

いずれにしてもそんな状況なものだから、果たしてこのお店の経営は大丈夫なんだろうかと、大きなお世話と思いつつも、店の前を通るたび、勝手に心配していた。

そうして今日、様々な葛藤を乗り越えて、ようやく心の整理がつき、思い切ってその禁断の扉を開き、お店に入ってみた。

すると店内はなんとも清潔で明るい空間が広がっていて、さらには大将と女性店員三人がてきぱきと働く、すこぶる小気味のよい雰囲気を作り出していた。

にぎり寿司は・・・

 並:1,300円
 上:2,000円
特上:2,500円

と三種類、ついつい見栄を張って『上』にしそうなところ、逆に『並』を頼むのが大人のたしなみなんだと、自分に言い聞かせながら一番安いお寿司を頼んで待つことしばし・・・

出てきた『並』を見て驚いた。

おしゃれに並べられた上に量が多い!!
これはもう並の『並』じゃない!!

これがあの還暦過ぎと思われる地味な大将の仕事っぷりか!?と驚きついでにはなはだ失礼な感想を頭の中で叫びながらカウンターの中をのぞき見てしまった。

いやいや、そうだとすると、これが『上』や『特上』だとしたらいったいどうなってしまうんだろう・・・と恐怖で震えているところ、ちょうど隣の女性二人組がその違いを話題の大将に聞いているところだった。

その答えとしては、量は変わらずネタがレベルアップするということだった。『並』じゃない『並』なのに、そこにさらにいくら中トロが入るというから破壊力が半端ない。

そんなことを思いながらこだわりの寿司達をお腹に詰め込み始め、一貫一貫にうなずきながら噛みしめながら、あっという間に満腹満足となった。

さてと、では、とお会計を頼むと・・・

「あ、すいません。まだデザートが出ていませんので」と梨のケーキを出されたから・・・

え!?寿司屋のランチでデザートが出されるなんて聞いたことがない!!と驚き、これをあの還暦過ぎと思われる地味な大将が!?とまたまたはなはだ失礼な感想が頭の中に浮かんでしまった・・・。

そうしてデザートを食べているといつのまにやら店内は店名通りに大入りの満員に・・・ここが頃合いかなと改めてお会計をお願いした。

並1,300円は消費税込みのポッキリ価格で、余計なモヤモヤを与えない江戸っ子ならではの気持ち良さ、これをあの還暦過ぎと思われる・・・って、いやもうやめておこう・・・。

いずれにしても、こんなにお得だと知ってたら、『上』でも良かったかなと思いつつ、けれど『並』でも十分過ぎるほどに満足だなと、そんなことを考えながらの帰り道、ふと頭に浮かんで来たのが・・・

『なみじゃない、杉並!』

という杉並区ご自慢のキャッチコピーで、ああ、まんまと踊らされてるなと思いつつも、笑顔で家へと歩いて帰った。

そんなこんなの寿司屋『大入鮨』さん、寿司屋だけにネタのつきない素敵なお店だったとさ。

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