ニューバランスがスニーカー界のロールロイスと呼ばれる理由

スニーカーを買った。

自分・・・

遠い昔はサッカー少年だったので、スニーカーを買うとしたらアディダスか、ナイキかプーマかアシックスか・・・

そんな選択肢しか持ち合わせていなかった。
(結構多いけど・・・)

ところが大学生の頃。

友人が履いていたとあるスニーカーが気になって・・・

気になって気になって・・・

でも買わなくて。

けれどやっぱりずっとそっと気になっていて、膝を抱えて座り込むようなしこりが頭の隅っこに残っていた。

それがニューバランスだった。

プーマがチーターを、
アディダスが三本線を、
ナイキが女神ニケの翼を、

それぞれデザイン化して靴の横に貼り付けているのと違い、
ブランド名の頭文字“N”を何食わぬ顔でドンと、
何のひねりもなく貼りつけているって、

なんなんだろういったい・・・。

“N”推し過ぎだ。
むしろその強気な性格、“S”でしかない。

と、よくわからない文句を言わずにはいられない。

そのくせオリジナルカラーはグレーって、
逆にどんだけ控えめなんだろう。

むしろ“M”かと。

やっぱり言わずにはいられない。
なんだろうこの・・・

「自分、結構積極的なんです」
「けれど地味なんです」

みたいな感じ。
それがいわゆるあれだろうか。
新しいバランス感覚ってことだろうか。

ニューバランスだけに。

いや知らないけど。
そもそもそんな話どうでもいいし。

そんなニューバランス、
ずっと頭に残っていた。

ちなみにニューバランスのM1300はスニーカーの“ロールスロイス”と呼ばれているらしい。

それってもう最高級品以外の何物でも無い。
けれどそんなことを聞いてもかたくなに手を出さずに時を過ごしてきた。

ところが最近、やけにニューバランスのことを耳にするようになった。

美容室の、いや巷ではヘアーサロンというんだろうか?
そのヘヤーサロヌの店員が・・・

「自分、ニューバランスしか履かないんすよ。 ニューバランス一度履いたら他の靴なんてもう履けないすよ」

と出来の悪いコマーシャルみたいなことを言っていたし、とある出張の時には会社の後輩がニューバランスのスニーカーを履いてきたものだから見つけた瞬間・・・

「おっ!」となり「その新しいバランスの、あ、いや、いわゆるそのニューバランス、ど、どうなの?」と聞くと・・・

「え?ああ、コレすか?履き心地いいっすよ。 自分、スニーカーはニューバランスしか買わないんすよ。 コレ履いてからはもう他は履けないっすね」

とやっぱり同じように出来の悪いことを言う。

おまえもか・・・。

なんなんだこのフレーズはいったい。
お決まりのセリフか?もしくは呪文なのか?
もしかしたらこれ、誰に聞いてもそう言うのか?

「イチドハイタラモウホカノスニーカーハハケマセン」
「イチドハイタラモウホカノスニーカーハハケマセン」

むしろ一度履いたら脳内にこの言葉が組み込まれるんだろうか?

不思議・・・。
洗脳?なの・・・か?

だからなのか、そんなことを聞いてしまった自分の頭の中にもやっぱりそれが組み込まれてしまい・・・気づいたときにはいつのまにやらニューバランスを買っていた。

それもヘアーサロンの・・・
あ、いや、ヘサロの店員の言う・・・

「いやぁ、やっぱりNB(ニューバランスのことらしい)買うなら1400か1300、もしくは996とか576、それもUKモデルかUSAモデルがいいっすね」

という暗号のような言葉を頼りにしながら、 悶々と悩みながら、夜風に吹かれながら、恋に恋しながら996のUSAモデルを買った。


これ、自分としてはすこぶるかっこいいと思っている。
そしてなにより履き心地がいい。

履いているだけでワクワクとウキウキが止まらない。
そしてクッションが良すぎてフワフワとしている。

イチドハイタラモウホカノスニーカーハハケマセン

謎のワードが頭の中に溢れてくる。

そうなるともうこの996の良さを誰かと共有したくなる。
これはもう宗教みたいなものかもしれない。
布教活動にいそしみたくなる。

そうしてまずは情報収集のためにパソコンで“ニューバランス”と入れて調べてみると・・

『彼氏がデートにニューバランスを履いてきた。別れたい・・・』

という想像もしなかった投稿が出てきたから、
自分の中で心のバランスが取れなくなっている・・・。

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