ある日ローカルラジオから不審なニュースが流れてきた
先週は熊本出張だった。
熊本空港から天草に向かうレンタカーの中、ローカルなラジオの番組からローカルなニュースが流れてきた。
「サッカーJ2の結果です」と。
自分、サッカーは好きだけれどJ2にはまったく興味がない。むしろ日本のサッカーリーグ自体に興味がないかもしれない。好きなのはスペインリーグやイングランドリーグだ。周波数はそのままに聞いていた。
ちなみにサッカーに詳しくない人のために説明しておくと、日本のプロサッカーで表立って活躍しているのはJリーグの中のJ1というトップリーグで、J2というのはその下のリーグになる。
J2で年間成績が上位になればシーズンの最後にJ1の下位チームとの入れ替え戦がある。同様のことがさらに下のリーグであるJ3との間でも行なわれる。
これが世界のほとんどのリーグが採用している方式で、だからこそサッカーは平等だ。
ところがプロ野球の場合、どれだけ成績が悪くてもチームが下のリーグに落ちることはない。そもそも下のリーグがない。トップはトップであり続ける。アメリカ方式だ。まるで世界の富を搾取し続け、その地位を決して譲らない今のアメリカそのものを表しているようでおもしろい。
さてと、そんなJ2についてのラジオを聞いていると・・・
「ロッソ熊本対ベガルタせんたいは2-2で引き分けでした」と女性アナウンサーが原稿を読み上げたから、え?と思った。
アナウンサーは間違いなくはっきりと明瞭に『仙台(せんだい)』のことを『せんたい』と言い放った。つまりはベガルタ仙台のことをベガルタせんたいと言ってしまわれた。
どうも熊本辺りまで行くと仙台なんかは遠い異国の地のように思えるらしく、地名すらも定着していないようだ。これが北海道ともなれば、北極くらいに考えているんだろうか。
彼女は事実を伝えただけかもしれない
けれど、いや待てと、自分を止める声が聞こえた気がした。
もしかしたら『ベガルタせんたい』というものが実際にあるんじゃないだろうか。つまりは漢字で書くと『ベガルタ戦隊』というものが熊本には存在するんじゃないだろうか。
そして、そのベガルタ戦隊がロッソ熊本と呼ばれる怪人のようなものと戦ったということじゃないだろうか。九州ともなると何が起きても不思議じゃない。なにしろあんなに臭い豚骨ラーメンを、むしろその臭さを求めて食べるくらいだ。いやそれはもう自分にも起きていることか・・・。
話をラジオに戻すと、その内容はヒーロー戦隊もののようにも聞こえたし、サッカーのようにも聞こえた。となると、もしかしたらベガルタ戦隊は11人の隊員が属する大所帯だということだろうか。
いや待てよ・・・また勝手な推測をしているぞ。
戦隊だから正義の味方であると勝手に思ってしまったけれど、もしかしたら怪人と思っていたロッソ熊本こそがこの地を守るヒーローであって、ベガルタ戦隊こそが悪の組織なのかもしれない。ついつい名前に騙されてしまったけれど、その可能性だって捨てられない。
隊内争いの勃発
ところで戦隊といえばそれぞれが自分のカラーを持っているのが定番であり、個性の見せ所でもある。
赤やら青やらがリーダー格の色だし、紫辺りになるとファッション性を前面に押し出しているようにも感じる。そうなると、ベガルタ戦隊の中で色の取り合いが勃発するかもしれない。というか、メインとなる色を押さえておかないと格好がつかなくなる。
定番でいえば赤、青、緑、黄、ピンク、紫辺りだろうか。それ意外となると大変だ。徐々にマイナー色になっていく。そうなると戦隊内での色の奪い合いはより激しさを増し、下手をしたら血を見ることになる。そうなると全員が赤色だ。
やっぱりベガルタ戦隊こそが悪なのだろうか・・・。
黒か
選ぶべき色が尽きてしまったと黒に手を出した隊員がいるかもしれない。
そうなると彼もしくは彼女はすっかり『黒子』的な存在になりはしないだろうか。黒子がそこにいるとなると見ている客側も敵側もちょっとした苦労を強いられる。見えているのに見えていないフリをすることが求められる。これは歌舞伎などの決まり事。そこにいてもいないものとするのが暗黙の了解。絶えず配慮が求められる。
すると黒子はピンクを持ち上げて飛んでいるように見せたりするのかもしれない。そうしてちょっとしたアクシデントからピンクの繊細な部分に触れてしまいセクハラ案件が発生することがあるかもしれない。
そうなると戦隊内でもめてしまうどころか下手をすれば裁判沙汰となってしまう。黒子の完全退場も起こりかねない。それはもう戦隊どころか人生からの退場だ。いずれにしてもベガルタ戦隊は10人になり、隊員ひとりひとりの役割が増えてしまう。
戦隊内の関係もギスギスしてしまう。
熊本のピンチだ。
いや、もしかしたら逆なのかもしれない。
ベガルタ戦隊が悪であれば彼らの内輪揉めこそが熊本のチャンスになる。
いずれにしても彼らを正義の味方と決めつけるのはまだ早い。
白か
では隊員のいずれかは、そんなことがないようにと白を選んだりしたのだろうか。
『白』といったら、色鉛筆では最後まで使われず長いまま残される嫌われ者だ。使い道がない。『白のいじめ問題について』と学級会の議題にでも挙がりそうな状況が生まれそうだけれど、大丈夫だろうか。
さらには白の服を着るとなると、気をつけないと下着が透けて見えてしまう。戦闘服の下に柄物のパンツなんかを履いていれば仲間からも怪人からもバカにされてしまうだろう。戦いどころじゃない。
もしかして白を選んだのは女性隊員だろうか。うっかり黒い下着をつけて透けてしまえばそれはそれでセクシー過ぎて困ってしまう。恐らく本人も自分の選択に後悔することだろう。そして恥ずかしさから動きが小さくなってしまい戦いどころじゃない。戦闘が始まった途端、倒されてしまいベガルタ戦隊は9人に戦力ダウンする。
さらなるピンチが熊本の街に訪れる。
それにしてもこの戦隊は結構な問題を抱えている。
やっぱり彼らこそが悪なのだろか。
それともシルバーか
それではと、ある隊員はシルバーを選んだりしただろうか。
それはそれで一気にセンセーショナルで先鋭的すぎる外見になる。未来の宇宙服のように見えてしまう可能性もある。他の色を着た隊員達の中でひとり浮いてしまわないだろうか。勝手ながら少々心配になる。
そして目に優しくない。
なによりシルバー系はウルトラ系のヒーローのために残しておいた方がいいだろう。そうでないと彼らの出番がなくなってしまう。
ゴールドはやめなさい
ゴールドの選択などはしていないだろうか。
コスチュームで金色ともなると戦いを見守る一般人から金粉ショーと思われる可能性がある。
金粉ショーといえば裸でダンスが定番で、そうなると少々エロが過ぎてしまう。だから「それはやめておきなさい」と言ってあげたい。
それとも人々の心を惑わそうとしているのだろうか。
だとすればゴールドの作戦は成功だ。
まさかの茶色か
そうなると茶色辺りだろうか。
しかし茶色のコスチュームなどを着たら、ただの動物の着ぐるみに見えやしないだろうか。色と形から猿にでも見られた彼もしくは彼女はバランスを取るために尻尾や耳なども付けているかもしれない。
・・・ふざけた連中だ。
彼らが正義の味方であるわけがない。
結論
ベガルタ戦隊は人数が少ない中、人数以上の役割をこなさなければいけないブラック戦隊であり、隊内ではセクハラも起こっている。彼らこそが悪の組織であり、熊本を守るヒーローであるロッソ熊本と戦った。そして今回は2-2の引き分けであった。
つまりラジオが伝えてきたのはそういうことなんだろう。
おかげで今日も熊本の街は平和だ。