そういえば先週、会社のゴルフコンペで優勝した。
前回、春の大会ではいつも通りの出来、可もなく不可もない。
そこそこのスコアで四位だった。
アイアンはいい、けれどアプローチがいつも通り最悪。
せっかくグリーンの近くまで行っているのにそこからあっちへ行ったりこっちへ行ったり。
なんならバンカーに入れて、さらにそこから別のバンカーに入れて。
いったい何をやっているのやら。
そんな自分に嫌気がさしてコンペ後すぐにゴルフスクールに入ることにした。
半年後のコンペで優勝することを目的に。
とにかく徹底的にアプローチの練習をした。
リズムがおかしいと言われたからそこを意識した。
そしてできるだけゆっくり振るようにも。
家でも練習できるようにと練習用のマットを購入した。
柔らかいボールを使って何度も何度も壁に打ち付けた。
たぶん、隣の人も下の階の人も恐怖に震えていたことだろう。
ドスンドスンと壁を打つ音や床を打つ音が朝も昼も夜も繰り返されたのだから。
けれどもう大丈夫。
あなた方の試練は僕の優勝と共に終わりを迎えました。
これからは以前のように閑静な住宅街での静かな生活を堪能しましょう。
さてとコンペ当日・・・
普段とは違うピリピリとした空気にすっかり飲まれていた。
ついでに肩に力が入りすぎていた。
そんなとき「絶対に優勝する」なんて熱い思いはなんの助けにもならない邪魔でしかない。
最初のホールで7打を叩き、がっくりしたものの逆に肩の力が抜けた。
参加人数42人の大会。
過去一度も三位以内に入ったことがないことからハンディキャップはMAXの36を保持していた。
前半を終えたところで49のスコア。
十分に優勝を狙えるポジション。
警戒すべきは同じ部署の後輩。
そして彼のスコアは50だった。
その差わずかに1。
なかなか厳しい戦いになりそうだ。
昼食はビールを飲まず食事も軽めの蕎麦を選択。
ここで油断するわけにはいかない。
そうして始まった後半最初のホール。
11打叩いた。
バンカーに入れて、バンカーから出ず、出ないから思い切り打ち、反対のバンカーへと飛んだ。
終わったな。
そう思ってやる気を無くした。
もうゴルフに集中はできず、翌週の仕事のスケジュールを考えていた。
あーあ。
これでまた優勝は次回に持越しだ。
ところが中盤に来て他の参加者の状況を確認してみると後輩の調子がよくない。
なんなら自分よりも悪い。
あれ?これまだ行けるんじゃ・・・。
そう気を取り直したところでふと目に入ったのが新入社員Tのスコア。
自分よりもいい。そしてハンディキャップは自分と同じ。
まさかこんなところに伏兵が・・・。
残り3ホール。
1、2打負けている。
そして最終ホール、なんとか無難に周り終えることができた。
あとはTの結果次第。彼が6以下で回れば自分の優勝はない。
一緒に回っていた役員からは「準優勝おめでとう」と優勝の可能性がないことを示唆された。
まぁ、今回は仕方ないか。
また半年がんばろう。
そう思っていたところに報告が入った、Tが8叩いたと。
「やったー!」とはならない、「やれやれ」とだけ思った。
なんとか優勝することができた。
こんな思いをしたのはずいぶんと久しぶりのことだし、今後こんな思いをすることはしばらくないだろう。
とりあえず嬉しい。