いつかのある日、デパートに行ったときに停電が起きた。
お昼を食べようとモスバーガーにいるときだった。
サラダとテリヤキチキンバーガーとフィッシュバーガーを注文してからしばらく経っていて、そろそろ出来るかな、と思ったところへの停電だった。
昼だというのに建物の中は真っ暗。
店内には家族連れなど10人程の客がいた。
突然の停電にも関わらず意外とみんな冷静だった。
ところが店員がパニック状態だった。
「え、あら、いや、なに?やだ、きゃー!」から始まり、
「なによ?なんなの?なんにも見えないわ、もぉー」を経て、
「ああん、もうダメダメダメダメダメいやーん!」に至っていた。
そんな中、隣にいた親子連れの子供などは関心したもので、
何事もないように暗闇の中ハンバーガーを食べ続けていた。
「落ち着いてるね、君・・・それともそれほどお腹が空いているのかい?」と心の中で語りかけてしまう。
しばらく復旧しないようなのでとりあえず外に出て周りの状況を確認してみた。隣の花屋も、反対隣のミスタードーナツもやっぱり停電だった。デパート内のすべての電気が止まってしまった様子。
特別な状況なので自慢でもしようかと友人の何人かにLINEをすると、二人からこんな返事が来た。
Mくん♂:プレステ5を万引きしてきて。あと店員のおっぱいもんできて。
Aちゃん♀:万引きとかしちゃダメですよ。それと変なこともしちゃダメですよ。
なぜか別々の場所にいるまったく他人の二人なのに連携が取れていた。君らどっかでつながっているのか?それとも、誰からでもそういうイメージで見られているんだろうか。やめておくれ、その犯罪者で変態のイメージは。
それにしてもさてさて、いったいどうしたものか・・・
と悩んでいるうちに15分程が経過し、暗闇の中からハンバーガー達が運ばれてきた(こんな中でも店員達は懐中電灯片手に必死に作ってくれていた)。
出来立てのハンバーガーを放っておくわけにはいかないし、なにより空腹に勝てそうもない・・・仕方なく食べ始めた。
このときになって隣でハンバーガーをむさぼっていた子供の気持ちがわかった。空腹じゃなければ彼はおもちゃ売り場で万引きをし、店員のおっぱいを揉んでいただろう。良かったねお母さん。
なんてことを思いながらこちらもハンバーガーをむさぼっていると電気が復旧した。やれやれ。
けれど、なにか大事なチャンスを逃した気がして仕方がない。
今度は高級時計の売っている百貨店辺りに行っているときに停電が起きないだろうか・・・。