何年か前の七月七日もやっぱり七夕の日だった。
当たり前のことだけれど、今となってはその日がまるで別世界のように思えるから・・・
「年末の宝くじに当たったからといっていつだって宝くじが当たるわけじゃないんだよ。前に当たったからって、また当たるわけじゃない。前当たりがいつだって次当たりってわけじゃない。前当たり、つまり当たり前は、当たり前じゃないんだ!!」
と声を大にして顔を枕に押しつけながら叫びたい。
そして今を噛みしめて生きよう。
・・・と意味のわからないことをひとしきり思ったあとでひと言。
「来年こそはいつもと変わらぬ平和な七夕でありますようにペコリ」
と今夜の曇り空に向かって小さくお願いしてみた。
さて・・・
こんなことになるなんて1ミクロンすら思いもしなかった何年か前の七夕祭り。
・今年こそは合格させてください
・あの子とつきあえますように
・その他数々自分勝手な願い
と短冊を見るとうかがい知れる、出会いと別れ、悲しみと喜びが入り交じった人々の感情に、胸が温かくなったり、つい笑ってしまったり、この身を委ねてふわふわとしていた。
そんな中、目に飛び込んできた一枚の短冊。
『三回目の結婚は上手くいきますように』
って、いやいやいや、ムリムリムリ。
二回失敗したあとの神頼みが図々しい。
いや神頼みでもない、頼んでいる相手は織り姫だ。
というか、もう既に三回目をした上でのこの願いか?
それとも二回目がダメになって三回目を狙っているところか?
どちらにしても誰かに頼まず自分自身で努力した方がいい。
棚からぼた餅が落ちてくるような話はないし、
空から星が降るようなメルヘンもない。
そしてもう少しきれいな字を書けるようになった方がいい。
それとそもそも、年に一度、七夕の日にしか会わない別居夫婦に恋愛のお願いなんてするもんじゃない。