フィリピン出張に行き、そして帰ってきた。
ふぅ。
前回のフィリピン出張では帰国のために受けたPCR検査で見事に陽性になり、10日程帰国が延びた。そのトラウマから今回は恐る恐るフィリピンへと、そしてマニラへと、足を踏み入れることになった。
とはいえ2022年9月7日から帰国のためのPCR検査は不要になっている。
そうであれば実際には陽性であったとしてもとりあえず帰ってくることはできるだろう、と少々楽観視している。まぁ、よかったよかった。
って、いやそれ他の人にとっては迷惑でしかない。
ほんとすいません。
そんなフィリピンには今回新しい上司を含めた4人で行くことになった。
新しい上司は元々よく知っている人で、部内では『相手が一番ダメージを受けるであろう言葉を一番いいタイミングで一番の笑顔で投げかけてくる』というサイコパスで有名な人だからなにがあっても逆らわないようにしている。
そんな彼との出張一日目、予定していた仕事をこなし、一緒に食事をし、一緒にお酒を飲み、そして一緒にマッサージを受けてホテルに帰った。完全なる彼への接待だ。
部屋に着いたのは夜の11時過ぎ(時差があるから日本であれば12時過ぎ)。
さてとシャワーを浴びて寝ようかと、下着姿になったところで上司から電話がかかってきた。
え?なに?
と思って通話ボタンを押すと「隣の部屋がうるさいんだよね。壁が薄いみたいだから部屋を変えられないかホテルに聞いてくれる?」
とのご要望。
いやいや、今!?
そして五つ星ホテルで壁が薄い!?
いや無理でしょ。
ってゆーか、俺、ツアーコンダクターでもなんでもないし!
とはいえ相手はサイコパス。
帰国後どんな嫌がらせを受けるかわからない。
仕方がないからその旨をホテルに伝えて返事待ちのためにしばらく待機。
その間、下着姿でシャワーも浴びられない。
そして疲れて眠い。
いやいや、勘弁してよ・・・。
しばらくしてフロントからの電話。
申し訳ないけど空きはないと。
まぁ、そりゃそうだろう。
というかあるんだろうけど、この時間でそんなものに対応してくれるホテルは恐らくない。
普通はチェックイン後すぐか、もしくは翌朝に変更を依頼する。
なにかあっても一日くらいは我慢する。
とりあえず空きがないことを上司に報告。
そしてホテルには「隣の部屋に静かにするよう伝えてほしい」と依頼してシャワーを浴びた。
そして眠りについた。
翌朝の朝食会場。
上司はニコニコしながら「おかげで静かになったよ」と言っているものの本心はわからない。
次に「でも部屋を変えてもらってよ」と案の定言ってきたからあの笑顔はフェイクだ。
仕方がないから食後、フロントと交渉してなんとか変えてもらえるよう手配した。
やれやれ。
それにしても今回の出張、少しながらではあるけれど英語が話せるのは自分だけ、だから仕方がないとはいえ、客先での交渉も店での注文もすべてこちらが英語で対応している。それはもうわからない人にはわからないだろうけれど、結構な疲労を伴う。
つまり結構疲れる。
わからない人にはわからないだろうけれど。
いや、わかってほしい。
その上、上司の世話までしなくちゃいけないんだからザ・ジャパニーズサラリーマンを見事に体験させてもらっている。
そりゃこの国が落ちぶれていく理由がよくわかる・・・。
役に立たない年長者たちが重要なポジションを占めてのさばっているんだから。
早くその場所を空けてくれ。
それにしてもストレスが半端ない。
なんとかせねば・・・。
すると翌日の夜、早めにホテルに戻ることができたのでマッサージを部屋に呼んだ。
フィリピンのマッサージはすこぶる安い。
2時間で約2500円。
円安になる前なら2000円もしなかった。
そうやって部屋でリラックスしてこちらが抱える大きめのストレスを発散させてくれるという大切な役割を担っていることを知ってか知らずか暗めの表情でやってきた女性セラピスト。
始めるなりちょこちょこと身の上話をしてくれた。
だいたい下のような感じで。
・私には子供がいる。
・旦那はどこかへ逃げてしまった。
・だからチップがほしい。
・今は彼氏もいない。
・自分だけで子供を育てている。
・だからお金が必要。
・チップがほしい。
・生活に困っている。
・だからチップがほしい。
・マッサージだけじゃ食べていけない。
・だからチップが欲しい。
・チップがたくさん欲しい。
・チップがたくさん欲しい。
・チップをたくさんくれ。
いや全然リラックスできーーーーん!!!
なんて暗い話してくれるんだ。
ああもう、わかったわかった。
払うから黙ってておくれ。
とひと言告げてなんとか彼女の不幸話を押さえつけて二時間を終えた。
そんなフィリピン出張も終わりを迎えて先程成田空港に着いた。
すると上司、入国のための感染症に関する申請をしていなかったことが判明。
どうにも少々時間がかかりそうな様子。
なんとかしてくれないかという表情を向けてくるけど、無理。
疲れていたので先に帰らせてもらった。
休み明けの仕打ちが怖い。