モテ期は突然やってくる

B!

ついにモテ期がやってきた!!

と思ったのは一昨日のこと。

都内の右の方に用事があって朝から電車に乗った。
新宿で乗り換え次に乗った電車内で激しく視線を感じ始めた。
異性である女性達が老若を問わず恥ずかしげもなくこちらを見てくる。

どうしたんだ君たちいったい・・・。
異性に目を向けるときはせめて恥じらいたまえ。

と諌めつつもふと思った。

あぁ、そうかと。
ついに来たのか俺の時代がと。

そう思っている間も足の先から頭のてっぺんまでジロジロと見られている。
そんなに興味があるのかこの俺に?

やばいなと思った。
照れるじゃん?とも思った。

人は人生の中で三度モテる機会があるというけれど、どうやら第三次モテ期が来たらしい。

いや待て・・・

そもそも第一次だとか第二次のモテ期があった記憶がない。年齢的な問題から勝手に最後のモテ期にしたけれど、もしかしたら第一次モテ期が来たのかもしれない。これは大変なことになったぞ、うふふ。

そんなことを考えながらひとりでご満悦な状態に浸っていた。

けれど、そんな浮かれた自分に冷や水をぶっかけたのが、ふと窓に目をやったときに視界に捉えたピンクの下地に白抜きの文字・・・

『女性専用車』という文字だった。

急に吐き気を催した・・・。
全然モテモテなんかぢゃないぢゃないか。

その場にもう一人の自分がいたら女性専用車両の中でニヤニヤとしている変態中年と化した自分をぶん殴ってやりたいと思った。

けれど痛いからしないだろうとも思った。
人は結局、自分にだけは甘いんだ。

それにしても・・・

第一次モテ期は幻と化した。

そりゃ誰だってジロジロ見る。
変態が乗り込んできた!!!と警戒してのことだろう。
女の中に男がぽつり・・・“ウォーリーを探せ”の表紙よりも簡単なミッションだ。

やれやれ。

慣れない電車では気を抜くなといういい教訓になった。
けれど気になるのは、もう一人、やっぱりおっさんが乗っていたという事実。

夕方の凪いだ海くらい平然とした顔で座っていた。

あの騒々しい電車の中で突然“悟り”でも開いたんだろうか?それとももしかしたら女性だったのか・・・。あるいは自分の羞恥心が作り出した幻か。

よくわからない。

いずれにしても日々おっさん度が増している以上、新たに気を引き締めて生きていこうと思った。

そしてモテ期については「いつでも到来をお待ちしておりますので、どうぞお越しください」とこの場を借りてお願いしておく。

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