赤信号ワタレ

B!
先日、友人家族と鎌倉辺りをぶらぶらした際、いつもの癖で赤信号を無視して渡ると大学生になる友人の娘が「はいはい、カッコいいカッコいい」と思春期の子供が親に悪態をつくように侮蔑の言葉を投げかけてきた。

ああ、これが世の父親達が味わう例のアレか。

などと貴重な体験に清々しさを感じながらも格好つけたわけでもない自分の信号無視がそんな風な安い自己主張に見られたのかと少々残念にも感じた。

ただ、言いたいのは、海外出張が多い自分にとっては信号無視など日常茶飯事だし、ベトナムなどでは信号すらないのだから、左右からやってくる車に注意を払いながら覚悟を決めて渡らない限り一生道路を渡れない。 こうやって書くとまた「はいはい、海外崇拝ね、すごいすごい」などと言われそうだけれど、この歩行者用信号という小さなルールを守ることに固執する若者達を作り上げた日本の管理教育には恐怖すら覚える。

この日本国内で集団生活を送る上では素晴らしく効率的で監督者にとっては非常に管理しやすいものであるとは思うけれど、ルールになんの疑問も持たずに盲目的にそれに従うような生き方を強いられてしまっていては、自分で考える力が養われない。

これでは日本からマーク・ザッカーバーグやスティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツといったユニークで突出した発想力を持った起業家は出るわけがないなと溜め息も出た。

そういえば会社の先輩が同じように赤信号を渡る自分を見て責めたことがあったけれど、その本人は周囲に注意を払わずに道路をふらふらと歩いていたせいで駐車場から飛び出してきたトラックに轢かれそうになっていた。

自分は赤信号を渡る際には当然自己責任という覚悟を持って、前後左右に周到に注意を向け、絶対的に安全であることを確認してからしか渡らない。ああ、ちなみに小さな子供が見ている前では赤信号は渡らない。彼らには判断力がないし、横断歩道は青であっても左右を注意して渡るものだとは教えられていないだろうから。

信号に頼る人達は青でありさえすればそこが完全なるサンクチュアリであって、全能の神からの庇護を受けているかのように呆けながら道路を渡るけれど、残念ながらルールを守っていても突然暴走したプリウスや暴飲した元モーニング娘。が飛び出してくることがあるからそこに絶対的な安心安全はない。

自分の身を守るのは自分だけだ。それでもルールはルールと言いたい気持ちはもちろんわかる。ただそれはまだまだ世の中を知らないからなのかもしれない。

君達が守っているルールを作ったこの国の政治家達も警察も権力者も、君達がルールを守っているからといって君達を守ってくれることはない。

そもそもこの国で一番大きなルール違反を犯している者達こそが政治家を始めとするルール側の人間達だ。そして直接的、間接的に国民を死や不幸に追いやっている。

ちなみにアメリカでは赤信号であっても歩行者がいなければ車は右折することができる(日本でいう左折。交差点を横切らない方向への移動)。

合理的で時間の無駄がない。

そして全てが自己責任だ。

君達は赤信号で立ち止まることでいったいどれだけの無駄な時間を過ごしているのだろうか。

この国には非合理的で理解不能で無意味なルールが大量に放置されている。高校などの校則がその最たるものだろう。本来であるならばそれに異を唱え変えていくのが民主主義であるし、自主性・自発性を養ういい機会になるはずなのに、この国はその原則すら忘れ、国民の権利やそうする意志を奪ってしまっているように思える。国の発展は国民の向上や成長の先にあるというのに。

海外で戦う上で日本国内のルールはまったく役に立たない。それどころか足枷にしかならずに勝負に負けて歯痒い思いをすることが多々ある。

『日本の常識は世界の非常識』とはよく言われることだけれど、実際のビジネスの場で損失が出る立場となると笑ってはいられない。日本の常識は世界の非常識な上に日本にとっての不利益だからだ。

「日本から出ないから関係ないよそんなこと」と子供達は言うだろうか。

けれど残念ながらこれから日本には大量の移民達がやってくる。

戦いの場においてルールを守らない者ほど強い者はいない。彼らはルールお構いなしにこちらの急所を平気で狙ってくるだろう。

日本人の常識や習性、生まれ育った日本人内の環境からつい人を信じてしまうけれど、「まさかそんなに簡単に嘘をつくなんて。騙してこようとしているなんて」と信じられないだろうけれど、これこそが世界の常識で、外国には人を騙してやろうとしている人達や平気で嘘を付く人達が当たり前のように日常生活の中に潜んでいる。それも驚くほど近くにそして大量に。

だから子供達よ。

赤信号を渡れ。
そして自分達の身を守れ。

そして子供達よ。

これが、大人が自己保身のために全力でする言い訳だ。

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