ただ自転車に乗って階段から転げ落ちたというだけの話

B!

先週の土曜の夜、
というと3日前の夜、
自転車に乗っていて転んだ。

転んだというよりも転げて転がって転がり落ちた。

川沿いの少し高くなった道を走りながらスーパーを目指していると階段が見えて、そこを降りれば半分ほどの距離で行ける。

そう思った途端、もうすっかりと心の隅に隠れていた冒険心が顔を出し「俺は海賊王になる!」と叫びそうな勢いで勝手に自転車のハンドルを階段側に切った。

いや、自転車で階段を降りられたとしても海賊王にはなれませんよ・・・

と正常な心が伝え終わる頃には想像以上の傾斜に操縦不能におちいって、自分はといえばそのまま階段横の草むらへと落ちていった。

一瞬気を失い、気づいたときには頭を草むらに突っ込んだ状態で仰向けになっていた。

おい、冒険心、なにしてくれやがる・・・。

なんてことを考える余裕もなく、出来たてのゾンビのように起き上がり、再び自転車にまたがり目的のスーパーへと走り出し、そしてなんとか辿り着いた。

激しく脇腹に感じる痛みと太ももの痛み。
そして手の指や半ズボンから覗いた足から流れる赤い血。

とりあえず赤くて良かった。
まだゾンビにはなっていない。

<汚い足を見せてすいません>

とりあえず気を取り直して買い物をすることにした。

ところが店内を歩いていると女性店員が近づいてきて、「あのこれ・・・」と何かを渡してくる。季節外れのバレンタイン?と思っていると「ちょっと見てられなくて・・・」とチョコの代わりに絆創膏を渡された。

見ていられないような姿をずっと見ていてくれたんだね。
ありがとう。

そうして目的を終えて家につき、なんとかシャワーを浴びて眠りについた。

そして翌日・・・

起きて体を動かそうとした瞬間、この世の終わりを悟った。
ああ、そうだ、ゾンビになっていたんだ。

いや、なってはいないけど体中が痛くて動かせない。
特に足の痛みがひどくてベッドから下りても歩けない。

日曜日だぞ!
なんにもできないじゃないか!!!

と憤慨しながらも痛すぎて寝込み、なにかをしようとしてまた寝込み、どうにかならないものかと体をひねるとやっぱり痛くて結局眠りについてしまった。

夜になって夕飯を食べに行こうとするとやっぱり痛み、けれど空腹が耐えられず、なんとか足を引きずりながら定食屋に着くと、どうにも寒気がする。

頼んだ赤魚の煮付け定食が出てきたけれど、腕に手が入らない上に手が震えてお箸が持てない・・・え?死ぬのこれ?

体を温めようと思ってお茶の入った湯飲みをつかんでも震えて持ち上がらない。

やっぱりゾンビ化している・・・。

それでもなんとか両手を使って温かいお茶を飲み干すと体が動くようになり食事も終えることができた。

そうして日曜が終わり月曜の朝。

起きたらまだ痛い。
これはもうダメだと病院に行った。

レントゲンを撮ると「ああ、良かったですね骨は折れてないですよ」と言われる程にはやっぱり見た目が良くなかったようで、超音波で調べると太ももでひどく内出血していた。

結局、診断結果としてはあばら辺りと太もも辺りの打撲だった。

・・・という、あの日の夜の自転車のようには落ちない、つまりはオチがない話をただ書いた。

けれど、それじゃ申し訳ないので頭を下げさせて頂きます。

ケガした(毛が下)話だけに。

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